用語解説

新しい技術、新しい用語:Audi e-tronに搭載された技術ハイライトを一目でご覧いただけます。

バッテリー電気自動車(Battery electric vehicle : BEV)
バッテリー電気自動車はハイブリッドカーやレンジエクステンダー搭載車と異なり、バッテリーを唯一のエネルギー源として使う車です。フランクフルトでのアウディの展示車Audi e-tronはBEVです。

燃料電池車(Fuel cell electric vehicle : FCEV)
燃料電池内で酸素と水素が制御された化学反応を起こし、水と熱、そして電気エネルギーを発生させます。このエネルギーが電動モーターを駆動させるために使われます。Audi Q5 HFCコンセプトカーのような燃料電池車は、内燃エンジンよりも高い効率性を達成し、排出するのは水蒸気だけです。量産車にこの技術を用いるには、水素用インフラの不足、耐久年数の短さ、市場性に欠けるコストなど、まだいくつかの問題があります。

電動モーター
電動モーターには高い信頼性、軽量、高い効率などの利点があります。電動モーターは可動部分(ローター)と固定部分(ステータ)で構成され、ステータはローターに力を与えて発動させる回転磁場を発生させます。車両に用いられる電動駆動モーターは一般的に水冷式です。
アウディ車には現在2種類の3相モーターが使われています。永久磁石を用いない非同期モーター(Asynchronous motors : ASM)はシンプルな設計で壊れにくく、維持にも手がかからず長い耐久性を持ちます。一方、永久励磁型同期モーター(Permanently excited synchronous motors : PSM)はより複雑なセンサシステムが必要になります。PSMはより小型で軽量に設計することが可能で、さらにトルク、回転数の範囲、効率の点でも優れています。
アウディは、Aidi Q5 Hybridのようなハイブリッドカーではトランスミッションに一体化した高トルクPSMを採用しています。高トルクモーターとしては比較的直径が大きい反面、全長は短くなっています。定格回転数は約2,000~7,000rpm。完全な電気自動車の場合は、高回転バージョンのPSMとASMが適しています。これらのモーターは定格回転数10,000~14,000rpmで直径が小さく、全長がより長くなりますが、ギアを減らすことができます。

重量エネルギー密度
重量エネルギー密度とは、体積あたりバッテリーが貯蔵できるエネルギー量で、単位はキロワット時(kWh)毎キログラムになります。現在のリチウムイオンバッテリーの重量エネルギー密度は約130 kWh毎キログラムです。
アウディでは、開発のスピードを考えると2020年までにはリチウムイオンバッテリーの上限と考えられているエネルギー密度2500 Wh/kgが達成できると考えています。比較として、ガソリン1kg(約1.33リットル)には12,000Whのエネルギーが含まれています。

e-tron quattro
アウディは次世代quattroドライブトレーンを「e-tron quattro」と呼んでいます。これは実績のあるquattroの長所と、電気自動車の可能性を組み合わせたものです。全部または部分的に電動のquattroのドライブトレーンは、特に効率的な作動モードとquattroドライビングダイナミクスの新たな可能性を提供します。
技術スタディモデルのe-tron quattroは、プラグインテクノロジーを採用したパラレルハイブリッドとして設計されました。2番目の電動モーターがリヤアクスルを駆動させ、その力は両ホイールに分配されます。コーナーにおける制動時は、トルクベクタリング機能により回生トルクを両方のリヤホイールに自由に配分できます。そのため、回生性能を最大限に高めることができ、緊急時の走行安全性が大幅に高まります。

ハイブリッドカー(Hybrid vehicle : HEV)
マイクロハイブリッド:エネルギー回生とスタートストップシステムがCO2排出量を減少します。
マイルドハイブリッド:マイルドハイブリッドは、出力向上のために電動モーターが内燃エンジンを補助します。

フルハイブリッド
Audi Q5 Hybrid quattroのようなフルハイブリッドは、一定時間電動モーターのみで車を走行させることができます。

プラグインハイブリッド
プラグインハイブリッドは電力のみで長い距離を航続でき、バッテリーは電気コンセントから直接充電が可能です。

ハイブリッド燃料電池(Hybrid Fuel Cell : HFC)
未来の電気駆動システムの電力はコンセントから充電できます。しかし、水を燃料とした燃料電池の助けを借りて走行中に発電することもできます。これまでで最も洗練された燃料電池ハイブリッド車が、Audi Q5 HFC試作車として発表されました。試作車に付けられたHFCの3文字は、「Hybrid Fuel Cell」(ハイブリッド燃料電池)の頭文字です。
2つの高圧タンクに、700barに圧縮された水素を合計3.2kg 搭載します。低温水素ベースの燃料電池システムの出力は89kW(120 bhp)。Audi Q5 Hybrid quattroでも採用されているリチウムイオン電池がハイブリダイゼーションのために用いられており、エネルギー含量は1.3 kWhです。駆動力はホイール近くの2つの電動モーターによって供給され、この最高合計出力は90kW(122bhp)、トルクは最高420Nmになります。Audi Q5 HFCの0-100km/h加速は13.4秒、最高速度は160km/h(電子制御リミッター作動)です。
水素燃料は非常に効率的に用いられ、燃料電池の発電効率は50%を超えています。これは最大250kmの航続距離を意味します。適切に設計された水素タンクが車体に搭載されれば、500kmの航続距離も現実的になってきます。燃料補給にかかる時間も従来の車とほぼ同じです。

充電技術
プラグインハイブリッドおよび完全な電気自動車では、ブレーキエネルギーの回生や負荷ポイント移動といった技術を除けば、バッテリーは基本的に外部から充電します。車両に設置された充電器は、公共電力網からの交流電流をバッテリー用の直流に変換します。3相400V電流やそれ以上の電流を使うと、一般家庭の240V電流と比べて充電時間は何倍も速くなります。さらなる代替ソリューションとして、アウディは電磁誘導を利用した非接触充電システムと、直流、高出力による高速充電を開発中です。この技術により充電時間をより短縮することが可能です。

負荷ポイント移動
Audi Q5 Hybrid quattroのようなハイブリッドカーは、通常、市街地の外では内燃エンジンで駆動します。動力源の組み合わせを制御するハイブリッドマネージャーが、低回転域においてTFSIの負荷が一時的に少ないことを確認すると、負荷ポイントをより高い範囲に移動。エンジン効率を高めます。電動モーターは余剰トルクを回収し、発電機となってバッテリーを充電します。

バッテリー耐用年数
駆動用バッテリーの耐久年数は、バッテリーが適温に保たれていれば10年以上です。負荷プロファイルや充電頻度、放電サイクルが耐久年数に大きく影響してきます。このため、Audi Q5 Hybrid quattroのようなハイブリッドカーのバッテリーは、一般的にエネルギー容量の約50%のみを放電します。電気自動車では20%が下限だと考えられています。車両を制御する作動ストラテジーが許容可能な容量リミットをモニターしてくれます。

ハイブリッドおよび電気自動車のライトウェイト設計
一般的に、ガソリン車をベースにした電気自動車やハイブリッドカーは追加パーツが必要であるため、大幅な重量増加を避けられません。しかし、アウディは重量増を最小限に抑えます。Audi Q5 Hybrid quattroおよびA1 e-tronでは、重量増加はわずかに100kg以下。アウディは電気自動車の開発でも、軽量設計において卓越した包括的なノウハウを余すところなく活用しています。競争の激しい環境の中、Q5は軽量設計の面でクラスのベンチマークとなっています。アウディスペースフレーム(ASF)設計、アルミニウムボディ、新たな繊維強化プラスチック。これらはこの分野で大きな可能性を持っています。

電動モーターの出力
電動モーターは、低い回転域で最高出力に達し、その出力を広い範囲で一定に保ちます。定格出力はより広い回転範囲で継続して一定して出される電力を意味しています。最高出力の持続時間は、加速、ブレーキ/回生、システム設定など、さまざまな要素により変化します。

出力密度
バッテリーの出力密度は単位体積あたりの出力です。現在のリチウムイオンバッテリーの出力密度は、使用素材の種類によって800~2,600W/kgです。電気出力は電圧と電流の強さによって決まります。

パワーエレクトロニクス
パワーエレクトロニクスは、バッテリーと電動モーターの間の制御をする、いわゆるパルスインバーターによって構成されています。この部品は、モーターの要求に応じてバッテリーの直流を交流(いわゆる回転磁場)に変換します。直流変圧器は12V電装システムを高電圧網につなぎます。パルス制御インバータに一体化されている場合もあります。

リチウムイオンバッテリー
「リチウムイオンバッテリー」は大きな可能性を抱えた技術の総称です。リチウムイオンバッテリーの特筆すべき点は、ニッケル水素電池の約2倍、鉛蓄電池の4倍のエネルギー密度を持つということ。おおむね一定の電圧を供給し、広範囲で温度も安定しています。自然放電もほとんどなく、メモリー効果を起こすこともありません。
アウディはリチウムイオンバッテリーを2種類に分類しています。高性能バッテリーはAudi Q5 Hybrid quattroのようなハイブリッドカーで用いるのに適しており、高エネルギーバッテリーは電力で長い距離を走行する車に使用します。どちらのタイプも精密な温度管理および安全管理システムを搭載しています。

パラレルハイブリッド
パラレルハイブリッド駆動では、内燃エンジンと電動モーターの両方がドライブトレーンに連結しています。両方の駆動方式を同時に使うことも、片方だけで使うことも可能です。

シリアルハイブリッド
シリアルハイブリッドでは、内燃エンジンのエネルギーが電動モーターにオルタネーター経由で伝わり、モーターが車両を駆動します。そのため、内燃エンジンのみを独立して使うことはできません。

プラグインハイブリッド車(Plug-in hybrid vehicle : PHEV)
プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)は、電気コンセントから直接充電できるバッテリーを搭載したハイブリッド車です。このタイプの車は電動モーターのみで長い距離を航続できます。パリモーターショーでアウディが出展したAudi e-tron Spyderコンセプトカーはプラグインハイブリッド車です。

エクステンデッドレンジ電気自動車(Extended range electric vehicle : EREV)
レンジエクステンダーとは電気自動車のバッテリーのみによる本来の航続距離を延長するための機械ユニットです。このため、エクステンデッドレンジ(延長距離)電気自動車(EREV)と呼ばれます。レンジエクステンダーは効率の良い小さな内燃エンジンである場合が多く、A1 e-tronでは特に小型の内燃エンジンが発電機経由でバッテリーを充電します。

回生機能
回生とは、制動エネルギーを回収することです。アウディのスタートストップ技術では、12V電装システムの発電機(オルタネーター)経由で回生が行われます。惰走時と制動時は、この発電機が電流を回収し、それがスターター用バッテリーに蓄電されます。ハイブリッドカーと電気自動車では、回生機能は発動機として作動する駆動モーターによって行われます。制動が軽いときは回生機能によって減速し、急な制動時には油圧式ブレーキが作動します。開発が進んでこの駆動モーターがブレーキペダルから切り離されれば、より正確に両ブレーキ間のトルクを分配し、回生ブレーキから油圧式ブレーキへの移行を細かく制御することが可能になります。

TCNG(TFSI combined with CNG) - CNG(圧縮天然ガス)複合TFSI
未来のCO2フリー自動車を目指して、アウディは体系的に再生可能エネルギーに注力しています。アウディeガスプロジェクトはこの道のりに大きな足跡を残すことになるでしょう。このプロジェクトには2つの要素があります。1つは風車によるクリーンなエネルギーの使用。アウディはその一部を未来のe-tronの製造に使います。もうひとつの要素は、残りのクリーンなエネルギーを使った電気分解による水素製造です。この水素はHFC車の燃料に使うことも、CO2を加えてメタンの製造に使うこともできます。このように製造されたメタンは合成天然ガスとも呼ばれますが、アウディではAudi eガスと呼んでいます。これは天然ガスで駆動する内燃エンジンの燃料として使うことができます。アウディは2013年から、このタイプのエンジンを搭載したTCNGモデルを投入します。
この技術の旗手であるAudi A3 TCNGは、アウディがメタン生成工場で製造したeガスで走行できます。4気筒TFSIユニットと排気システムの触媒コンバーターは、いずれも天然ガスによる走行のために設計されたものです。天然ガスと同様、eガスのCO2排出量は無鉛プレミアムガソリンに比べ大幅に少なくなります。つまり、このeガスプロジェクトでは、単に燃料の調達プロセス(well-to-wheel:源井からクルマまで)だけでなく、エグゾーストパイプ(tank-to-wheel:タンクからタイヤまで)においてもCO2排出量を大きく削減しています。エグゾーストパイプから排出されるCO2は、1gも逃さずeガスの製造で消費されます。つまり、燃料の製造とその燃焼がCO2の閉じたサイクルになっているのです。

サーマルマネジメント(温度管理)
充電および放電の過程で電流が流れると、そのたびに熱が発生するため、駆動用バッテリーを冷却する必要があります。冷却システムはバッテリーを25 - 45℃の適温範囲内に保ち、さらに各バッテリーセルを同じ温度に保ちます。空冷方式、水冷方式の両方があり、いずれの方式でも温度センサーによって必要な情報が提供されます。
Audi Q5 hybrid quattroには洗練された空冷システムが搭載されており、自然冷却されるとともに、必要に応じてアクティブにバッテリーを冷却します。この技術はパフォーマンスSUVの電動走行の幅を広げます。
バッテリー以外にも、電動モーターとパワーエレクトロニクスは常に冷却が必要で、こちらは水冷式です。

ヒートポンプ
ヒートポンプは建物の暖房システムが元になっており、周りの熱を吸収することで冷却したり暖めたりします。車内のヒートポンプは実績のある空調の冷媒回路をベースに作られており、さらに第2のコンデンサーが追加されています。
アウディは電気自動車にこの技術を応用する方法の開発に、精力的に取り組んでいます。室内温度を調整するために、ヒートポンプはバッテリーや電動モーター、パワーエレクトロニクスからの廃熱を利用します。高効率な作動方式のおかげで、必要なエネルギーは非常に少なく、航続距離への影響もほんのわずかです。

Well-to-wheel 源井から自動車まで
「well-to-wheel」(エネルギーの源井からクルマまで)のキャッチフレーズは、エネルギーの発生源から車両での利用まで、環境の観点からのエネルギーの総合的分析を意味しています。アウディは、電気自動車の製造や運転に必要なエネルギーの生成の段階から、CO2排出量をできる限り少なくする目標を掲げています。

効率
効率というのは、あるエネルギーから他のエネルギーへの変換の効果を計るパラメータです。システムが届けたエネルギーとシステムに吸収されたエネルギーの比率(パーセント)で表示されます。乗用車の電動モーターは幅広い走行領域で、最高97%の効率を達成しています。なお、この数値は最も効率の良い内燃エンジンの最高3倍の値です。

サイクル安定性
サイクル安定性は、バッテリーの容量が当初の値から一定割合少なくなるまでに、何回充放電できるか、そのサイクルの回数で表されます。今日のリチウムイオン駆動バッテリーは一般的に数千サイクルを達成します。