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Electrifying sound

Audi e-tron GT quattroのサウンドはアウディのサウンドエンジニアである
ルドルフ・ハルブマイヤーとステファン・ジゼルが中心となって開発。
今回はその舞台の裏側となる開発のプロセスやインスピレーションの源、直面した挑戦などについて話を聞いた。

Copy: AUDI AG - Photo: AUDI AG

Audi e-tron GT quattro|電力量消費率*: 19.6-18.8 kWh/100km(NEDC)/21.8-19.9kWh/100km (WLTP)、二酸化炭素排出量*: 0g/km
* 表記の仕様はドイツでのみ有効で、他の地域では適用されません。
※本サイトに掲載している写真は欧州仕様です。日本仕様とは異なります。

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音は私たちの生活に不可欠な要素のひとつであり、私たちの日常は常に音に囲まれています。そして、その形は実に様々です。穏やかな風による木のざわめきや、街の活気ある喧騒。窓に当たる雨の雫によって奏でられるビートや、スタジアムに集まる大勢のファンの猛烈な拍手。音によって感情が揺さぶられ、懐かしい記憶を思い出させることもあります。そして音はいつでも、大胆でユニークな特徴を与える要素にもなります。特に、われわれの造る車にはそれが顕著に表れています。

変革を遂げるモビリティーのサウンド

ルドルフ・ハルブマイヤーとステファン・ジゼルはアウディのサウンドエンジニアとして素晴らしい耳を持っているだけではなく、豊富な経験も持っています。ルドルフ・ハルブマイヤーは約20年に渡り車のサウンドデザインに携わってきました。車の電動化が進むにつれて、彼の仕事の性質は変わってきたといいます。彼曰く「アウディに入って最初の9年間は主に、車のエンジン音をいかに静かにさせるかに重点を置いていました。その後、当時の上司から電動車のサウンドデザインに興味があるかどうか尋ねられたんです。」と。

一方でステファン・ジゼルはおよそ5年前にチームに加わりました。彼も同じく、当初の任務は車を静かに走らせることでしたが、アウディ初のハイブリッドモデルが導入されてからはその方向性が変化していったのです。

今の2人の使命はAudi e-tronに特徴的な音響を宿らせることです。そのためには法的要件を満たすだけではなく、車それぞれのユニークなキャラクターを考慮する必要があります。それは簡単なことではありません。ルドルフ・ハルブマイヤーは次のように語っています。「たくさんの要求に応えるにはバランスをうまくとらなくてはなりません。もちろん、耳にやさしい音であることが重要です。かっこいいアイデアでも、その車に適合しない場合もあります。」理想的な音響を求める際、インスピレーションはどこからでも得ることができると言います。

車のサウンドは音楽と似ています。テーマとなるメロディにサビの部分も必要なのです。

ルドルフ・ハルブマイヤー

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インスピレーションの源は日常に溢れている

「車のサウンドは音楽と似ています。テーマとなるメロディに、キャッチーですぐに認識できる、いわゆるサビの部分も必要なのです。今回のAudi e-tron GT quattroのシグネチャーサウンドをデザインする際は、バイオリンからエレキギター、オーストラリアのディジュリドゥまで、ありとあらゆるものを試しました。

しかし、どれもしっくりきませんでした。そこで日常にある物で実験を重ね、ついに探し求めていた音を見つけたのです。筒状の物体の開口部の前に扇風機を置き、もう一方の端から出てくる音に耳を傾けました。すると、とても特別な、深い鼓動のような音がしたのです。その瞬間、基本となる音が決まりました。」ハルブマイヤーはそう振り返りました。

基本となる音を決めることは車のサウンドを開発する上で重要な最初のステップですが、そこで全てが完成するわけではありません。そこからグラデーションが必要になります。低周波の音は自信に満ちた強さを呼び起こし、中周波はスポーティーさと敏捷性を表します。そして高周波は特定の輝きを表現し、電気自動車の電子音景にぴったりな雰囲気を演出します。


Audi e-tronのサウンドを生み出すために設計されたソフトウェア

より細かいディテールを磨き上げるために、2人はアウディのサウンドラボとオフィスにあるコンピューターを使ってエンジニアとしての腕を発揮させました。彼らが使用したツールの1つはサウンドデザインという目的に合うように設計されたプログラムで、それは市販の音楽作成ソフトウェアによく似たものでした。「アウディの電動モデルのサウンドを開発し始めた当初は残念ながら、目的を果たせそうな市販のソフトウェアはありませんでした。そのため、自分たちでプログラムを作成したんです。」ステファン・ジゼルはそう語りました。

このツールの力を借りて、ハルブマイヤーとジゼルは周波数構造を改良し続けました。そして最終的には磨きのかかった32トーンのサンプルが出来上がったのです。これらのサウンドはシンセサイザーの音や、電動ドリルの音、ヘリコプターの音など、様々な範囲を網羅していました。もちろん、ハルブマイヤーが話していたプラスチックの筒も様々なバージョンがサンプルの作成に使われました。

「個々の音を重ね合わせるアルゴリズムにより、私たちは常に新鮮なサウンドを作成することができます。音楽の作曲と似ている点もありますが、始まりと中間と終わりが識別できないといった違いもあります。」とジゼルは付け加えました。「私たちの作成するサウンドは走りのオーディオです。Audi e-tron GT quattroはどんなドライビング状況でも良いサウンドを奏でていなくてはなりません。そして何よりも、力強く魅力的なサウンドでなくてはならないのです。」

個々の音を重ね合わせるアルゴリズムにより、私たちは常に新鮮なサウンドを作成することができます。

ステファン・ジゼル

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Audi e-tron GTのサウンドオプション

Audi e-tron GT quattroには法律の規定に準拠した車両接近通報装置(AVAS)が搭載されています。欧州と中国では時速20キロまで、米国では時速32キロまでこの装置の稼働が義務付けられています。この装置により車外に警報音が発せられ、都市部などで歩行者が接近する車に気づくことができます。Audi e-tron GT quattroが発する音の範囲はAVASの規制をはるかに超えたものです。

エクステリアの音は車両の前に搭載されたスピーカーから再生されます。オプションのe-tronサウンドパッケージを選択すれば車両の後方にもう1つ、そしてインテリアのリヤのドアにも2つのスピーカーが追加されます。グランツーリスモのサウンドを説明するにあたり、ルドルフ・ハルブマイヤーは次のように述べています。「私たちはあえて、エンジンのような音やSF映画の宇宙船のような音を避けることにしました。その代わりにAudi e-tron GT quattroには高品質を漂わせるようなスポーティーでどっしりと響く音を備えました。これにより特徴がとても際立っています。なじみ深い音と新しく未来的な要素を融合させたのです。」

コントロールモジュールはインテリアとエクステリア、2つのオーディオをそれぞれ調整します。そして2つのコントロールユニットは車速やアクセルペダルの位置など運転状況に基づいてAudi e-tron GT quattroのサウンドを永続的に、かつリアルタイムに生成します。また、ドライブモードに合わせた調整も行われます。アウディドライブセレクトのドライビングダイナミクスシステムは標準装備されており、モードに応じてサウンドの特性が段階的に変化します。選べるモードはエフィシェンシー、コンフォート、ダイナミックの3種類です。ドライバーは気分に応じてグランツーリスモのサウンドトラックを自由に選ぶことができるのです。

エフィシェンシーモードでは車両接近通報装置(AVAS)の警報音のみを発しますが、コンフォートモードに切り替えるとリヤのエクステリアスピーカーが機能し、エクステリアのサウンドがより豊かになります。このシンフォニーは時速200キロを超えても楽しむことができます。またダイナミックモードではエクステリアのサウンドがよりパワーアップし、インテリアの音と調和されます。

Audi e-tron GT quattroはアウディ初のサウンドを選べる電気駆動モデルです。静かな電気モーター音からパワフルなサウンドまで、自由に選ぶことができます。ただ、忘れてはいけないのは、自由に選べるのは音だけでなく、フォーリングスのカスタマイズオプションも自由だということ。

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Audi e-tron GT quattro

Audi e-tron GT quattro

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